オランウータン日誌

保育士をしています。本と落語と自転車が好きです。

考えごと

梨うまい『悔しみノート』を読む

ラジオが好きだ。 毎日、労働したあとの癒しタイムとして、お風呂にジッパー袋に入れたスマホを持ち込んでradikoを聴く。 ジェーン・スー生活は踊る。人生の酸いも辛いもつまみ食いできる相談コーナーは、束の間のほっこり感を提供してくれる。 その相談コー…

田澤里喜『あそびの中で子どもは育つ』を読む

最近の保育は総力戦だ。発達に即している、という理由でおもちゃを保育環境として用意するだけではなく、本来、子どものおもちゃではないようなものまで、保育の中に取りいれることが、保育の充実につながる。もちろん、単に大人向けのものを横流しすればい…

藤森平司『0・1・2歳の「保育」』

藤森平司『0・1・2歳の「保育」』を読む。0・1・2歳の「保育」 (見守る保育2子ども同士の関係から育つ力)作者:藤森 平司発売日: 2012/08/24メディア: 単行本 小さいひとたちがいる施設で働く者として、赤ちゃんには母親が一番!というような善意の主張を耳…

門井慶喜『銀河鉄道の父』を読む

門井慶喜の『銀河鉄道の父』を読む。 https://www.amazon.co.jp/gp/product/B086STMN46/ref=as_li_tl?ie=UTF8&tag=nafu38-22&camp=247&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=B086STMN46&linkId=ea4287a5b2b1c7bd9c44df40b059b2af 自分が父になったから読…

最近のこと

保育の仕事は今も続けている。 だけど、環境の変化はとても大きい。 子どもが生まれて、育休をとった。保育の研究がしたくて、夜間の大学院に入学した。 パワハラ・パタハラに遭いはしたものの、そんな抜き差しならない状況だったので、辞めるわけにもいかん…

がんばるってたのしいって、そう思ってくれたなら

運動会に向けての活動が大詰めだ。 運動会とはいっても、「運動会に向けて、一生懸命練習するぞ! エイ、エイ、オー!」みたいなことは全くなくて、ふだんから取り組んでいる運動的な遊びを、保護者にも一緒に見てもらって発表しよう、という趣旨の会。 だか…

一人の大人として意見をきちんと伝えること

職場の人たちと飲みに行く。 ふだん、一緒に仕事をしていてもゆっくり話をする機会はめったになくて、たまに飲みに行くと色々な話ができて楽しい。 24歳の女の子が、どんなふうに男を見つけてきて付き合うことになり、同棲するにいたったのか。純粋に下世…

言わなきゃ気持ちは伝わらない

年長の男の子が友だちと二人で座っているベンチに、もう一人別の子が座りに来たことで、いじけてた。 はじめ、いじけている理由がわからなかった。 三人にいろいろ話を聞いてみるうちに、なぜいじけてたのか分かった。 あとから来た子が一緒に座るのは嫌では…

年長の、コミュニケーションについての名言

相手がそう感じたんなら、私がそう感じさせることをしちゃったんだと思う。 年長の女の子が、友だちとのけんかの後にそう言っていて驚く。なんて建設的で、大人びた考え方をするんだろう。 もしかしたら、身近な大人が言っていることを聞きかじって真似して…

理論上はコミュニケーションの達人になれる

かわいい女性と話す。 先日会った時に、最近一緒にいて楽しい人がいると話していた。その時は、恋の始まりのキラキラがまぶしくって、それに、若くてかわいい人に恋愛の話を聞いていいものかという遠慮もあって、一緒にいて楽しい彼との話を深くは聞かなかっ…

結婚した理由は?

自転車で行ける距離のところなら、電車でいった方が楽だとしても、自転車を選ぶ。 自転車で自分の体を動かす方が気持ちがいい、というのも表向きはある。 でも本当は、自転車に乗っていたら、最初から最後まで移動が一人でいい、というのが最大の理由かもし…

緊張の保育園調理活動

ピーラーの先についているのは、実は包丁とおなじものだ、と聞くとみんな緊張した。 それでも、にんじんやジャガイモの皮をむき始めるとやっぱり刃物を扱っているという自覚は薄れるようで、シャキーンシャキーンなどと調子に乗り始める子どもがいた。指の川…

パンツが見えそうで、若い自分に再会した気分。

電車に乗ると、パンツ見えないかな、と思う。 思うだけで、腰を折って座っている人のスカートの中をのぞき込んだりはしない(したら犯罪だ)。ただちらっと視線をやるだけ。そしてパンツは見えない。 最近まで自転車で通勤していたのが、引っ越して電車に乗る…

恋の始まりのキラキラを、もっと聞きたかった

かわいい女性と話をする。 過去に、好きでもない人と付き合って、その時いかに不毛な時間を過ごしたかを楽しげに話してくれて、盛り上がる。 ――ほんと、ギャラを払ってほしいと思ってた。移動時間も含めて、拘束時間に対して時給1000円はもらいたい! 会…

妻に最低と言われた話――怒りを怒りとして表現する大切さ

オランウータン日誌です、こんにちは。 ふだんは、むやみに不安になるだけなので将来のことを思い詰めないようにしているんだけど、そろそろ来年度のことを考える時期に来ていて、だから、否が応でも考えさせられる。 すると、家でごはんを食べている時など…

短歌に感動できなくなってきてしまった――たとへば君

オランウータン日誌です、こんにちは。 たとえへば君 ガサッと落ち葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか 河野裕子 毎年、この季節になると思い出す歌だ。 恋愛の心情を、「ガサッと落ち葉すくふ」という、おおよそ恋愛とは離れた動作と音に重ねて詠ん…

自転車とフィルムカメラは相性がいい

オランウータン日誌です、こんにちは。 コンパクトフィルムカメラのRICOH GR10を、気が向いたときは平日でもカバンに放り込んで持ち歩く。 持っているからと言って必ず写真を撮るわけではなく、むしろ撮らない日の方が多いくらい。 246が山手通りと交わる道…

昔の女と会う男――自分のアイデンティのために相手を利用する、無意識の打算

「昔の恋人を男は名前を付けて保存、女は上書きして保存」という説を支持しているオランウータン日誌です、こんにちは。 というのも、むかし付き合っていた女と会い続ける男が世の中には一定数いるように感じるから。 その男がモテないから、むかし付き合っ…

3つの「夏服を着た女たち」――目の前にある身体と声の力

オランウータン日誌です、こんにちは。 昨日は代田橋のCHUBBYというカフェに、激情コミュニティという劇団の舞台「夏服を着た女たち」を観に行ってきた。原作はアーウィン・ショーの短編小説。 geki-comi.com 夏服を着た女たち (講談社文庫)作者: アーウィン…

知識を広げる、深める 芋づる式読書

読書の秋ですね、オランウータン日誌です、こんにちは。 先日、いろんなジャンルの本を読んでいるというエントリをアップしたら、どうやって読む本を選んでいるのか、とコメントしてくれた友だちがいて、言われてみればどうやって、と考え込む。 orangutan-n…

目指せ料理上手!――ふつうのごはんを手早くおいしく

ごはんを作るのも、食べるのも大好きなオランウータン日誌です、こんにちは。 大好きとはいっても、決してグルメではないし(違いの分からない男オランウータン日誌)、料理上手でもなくって、この先、味にうるさくなるつもりはないんだけど、料理上手にはなり…

この人がいてよかったと思う時――ごはんを作って一緒に食べる話

たまの一人ですごす週末には、つい食事がおろそかに……、カップ麺、納豆ご飯、外に丼物を食べに行く、などなどをしてしまいがちなオランウータン日誌です、こんにちは。 きのう何食べた?(4) (モーニングコミックス)作者: よしながふみ出版社/メーカー: 講…

マキヒロチの「明太フランス」と角田光代の「明太フレンチ」――生きる糧となるごはんの記憶

けっこう漫画も読みます、オランウータン日誌です、こんにちは。 『いつかティファニーで朝食を』の「明太フランス」 いつかティファニーで朝食を 8 (BUNCH COMICS)作者: マキヒロチ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/11/09メディア: コミックこの商品を…

様々なジャンルの本を並行して読み進める――本と本をつなげて自分だけの星座を描く

哲学の本からモテテクニックの本まで何でも好きです、オランウータン日誌です、こんにちは。いったい何なりたい人なんだろう。 大学時代、文学部の教授ではなかったけど、ある先生が本の読み方について講義の中で話していたのが、今でも心に残っている。 本…

たどたどしい表現の後ろに広がる世界――フンデルトワッサー、乳幼児の発声

本を読むのは確かに好きだけど、多読家というには程遠くて、一冊読むのに結構な時間がかかるオランウータン日誌です、こんにちは。 昨日、高山なおみのエッセイから「老人の体に棲みついて離れない記憶というものがあるのを見た気がした」というフレーズをひ…

「何もかも全部憶えてる」という記憶、あるいは願い――高山なおみ、山田稔明、夏石鈴子をめぐって

食べたものが僕の体を作っていくように、僕が生活していく中で考えたことや感じたことも、何もかも全部、僕の細胞となって、僕を形作っている。今日食べたごはんも、壁のポストカードも、写真で写したようにすべてを憶えていることはできなくても、たしかに…

【レビュー】長嶋有『ねたあとに』――ただ「遊ぶ」ことができる相手のいる輝き

一緒にご飯を食べるのでも、飲みに行くのでもなく、ただ何かをして「遊ぶ」なんていうのは、大人になった今では、どの友だちとでもできるわけではない。 一緒に「遊べる」友だちが、だからといって親友だとか分かり合えてるだとかいうつもりはないのだけれど…

【レビュー】ジェーン・スー『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』――自虐の形をとった、自意識との戦いの記録

実はこの本は、プロポーズされないことを面白おかしく書いた自虐の書として読めるだけでなく、ジェー・スーがいかにして女としての自意識と格闘しながら「未婚のプロ」として楽しく生きる道を選んだか、という戦いの記録なのだ。

「大親友」では言い表せない――甘さも幻想も受け入れずとどまる

年齢的なものなのか最近結婚式を挙げる友だちが多いけど、誰も僕を呼んでくれないので、Facebookでしかその様子を知ることができないオランウータン日誌です、こんにちは。 仲のいい友達の結婚式にお呼ばれした時、SNSに「大親友の結婚式に行って幸せのおす…

オシャレ本屋にオシャレなライフスタイルを押しつけられるのは嫌だ

毎週末本屋さんに通い、その他にも暇ができれば本屋に行く。本屋が最も有意義な時間つぶしスポットだと信じて疑わないオランウータン日誌です、こんにちは。 本屋といっても最近はいろいろな本屋があるようで、なんだかオシャレな本屋が増え始めている。オシ…