言わなきゃ気持ちは伝わらない
年長の男の子が友だちと二人で座っているベンチに、もう一人別の子が座りに来たことで、いじけてた。
はじめ、いじけている理由がわからなかった。
三人にいろいろ話を聞いてみるうちに、なぜいじけてたのか分かった。
あとから来た子が一緒に座るのは嫌ではない、でも、「入れて」とか「狭くなっちゃうけどいい?」とか聞いてほしかった。
要約するとそんなことだった。
――あのー、それはいじける所なのかなぁ……。
内心、ちょっぴりあきれる。あきれてることは特段顔に出さずに言う。
――「一緒に座りたいならひとこと言ってから座って」って、相手に言った? 言わなきゃ伝わらないよ。だって、先生だってこうしていろいろお話してやっと〇〇君がどうしていじけてるのか分かったんだもん。
別にけんかになるような大した話でもないので、すぐに子どもの気持ちはすっきり。
子どものことはさておき、自分のことを考える。
いじけてる時って、相手に何か言うのもいやだよなぁ。子どもにはそれらしいことを言ってるけど、俺は大人になってもいやなことがあるといじけるし、しゃべらなくなるし、だから相手に俺の怒ってる気持ちも分かってはもらえないんだよなぁ。
子どもに言った言葉は、まるっきり自分にも必要な言葉だった。