オランウータン日誌

保育士をしています。本と落語と自転車が好きです。

保育

コロナ禍での大人の夏休み

少し遅い夏休みを取った。土日を入れて6連休だった。これは盆暮正月以外では、保育士としてはかなり長期の休みの取り方と呼んでいいと思う。 (余談だが、長期休暇が取れないのは、この業界のよくないところだと思う。ただし、僕は「取れない」ではなく「取…

保育者として今後どうなっていきたいのかの覚書

備忘のために書く。 今後、自分が保育者としてどうなっていきたいかの走り書きだ。 1.より多くの子どもや、働く保護者に、直接、質の高い保育や子育て支援をおこなっていきたい これは、シンプルにこの通り。 2.優れた実践をすることで、自分の園、自分…

万国旗作りでフィンガーペイントをした

息子の保育園の運動会で使う万国旗を、各家庭で作ってきてほしいとのことだった。1歳10か月でどんなものができるか考えて、指絵の具でフィンガーペイントをすることにした。 保育士として園でやるときはフィンガーペイント専用の指絵の具をつかうのだけど…

グラフィックファシリテーションの教科書

山田夏子『グラフィックファシリテーションの教科書』を読み終える。 グラフィックファシリテーションの教科書作者:山田 夏子かんき出版Amazon グラフィックファシリテーションのテクニック的なところについては、自分の画力で実践できるかはかなり未知数。(…

2週間近く隔離されていた

コロナの影響は身近に迫っていた。職場にも陽性者が出て、僕も濃厚接触者ということになって、2週間近く健康観察期間として自宅待機になった。 ワクチン接種が折悪しく重なり、初めの数日間は高熱でうなされた。その後も咳が出続けて不安だったが、検査の結…

若い職員に教えてもらえること

よくも悪くも、経験を積むと色々なことが見えてくる。 それはもちろん、保育に対する見通しを持つことができて、周到に準備しながら子どもと関われるということでもあるのだけど、と同時に、「できない」ことが分かって、割り切って考えるようになることでも…

ヒトにとって欲望とは? 保育士の考察

欲望の自然性 欲望はヒトが生きていくうえで必須の物であるが、無条件に肯定されるものでもなければ、むやみに否定されるようなものでもない。欲望は根源的には生きていきたいという原動力であるし、生きる上で必要な衣食住を整えようとする力や、人とのつな…

「ニュートピア」を観る

「ニュートピア」というドキュメンタリーを観る 原題:NEWTOPIA2020年製作/インドネシア/作品時間89分 インドネシア・スマトラ島の西、ムンタワイ諸島の密林に暮らす先住民の祈祷師に「弟子入り」したノルウェーの青年と、現代文明に憧れて町に出稼ぎに行…

ママをやめてもいいですか!?

【無料配信中・年末年始限定!】映画『ママをやめてもいいですか!?』(ナレーション:大泉洋)本編フル映像【公式】 YouTubeで無料公開されていたので「ママをやめてもいいですか!?」を見る。母親も不完全な一人の人間であるという、ごく当たり前のことが…

田澤里喜『あそびの中で子どもは育つ』を読む

最近の保育は総力戦だ。発達に即している、という理由でおもちゃを保育環境として用意するだけではなく、本来、子どものおもちゃではないようなものまで、保育の中に取りいれることが、保育の充実につながる。もちろん、単に大人向けのものを横流しすればい…

藤森平司『0・1・2歳の「保育」』

藤森平司『0・1・2歳の「保育」』を読む。0・1・2歳の「保育」 (見守る保育2子ども同士の関係から育つ力)作者:藤森 平司発売日: 2012/08/24メディア: 単行本 小さいひとたちがいる施設で働く者として、赤ちゃんには母親が一番!というような善意の主張を耳…

保育の仕事がたいへんでも楽しくやっていくためには

めまぐるしく日々に追われるとブログを書くゆとりはなくなる。 そもそも僕は追いつめられるまで仕事を放置するようなタイプではないのだけれど、突発的に対応しなければいけないやっかいな案件というのがどうしてもあって、そうなると普段のルーティンはまる…

自分たちの保育を見てもらう研修会だった

旅行に行っていた。僕のすべき仕事は終わらせていたし、引継ぎの必要なことも、チームのメンバーに安心して任せてきた。しばらくぶりに会う遠くに住む友だちとも会えて、とても楽しい旅だった。 昨日から久しぶりの仕事、だが、ひさしぶりと思う間もなく今日…

運動会が終わった。

運動会が終わった。 やっている時は運営にいっぱいいっぱいで、神経をすり減らし続けていたんだけど、それでも終わってみれば本当に充実していた時間だったと思わされる。 2歳児、3歳児は、たくさんの観客がいる雰囲気に緊張して、ふだん運動遊びを楽しん…

がんばるってたのしいって、そう思ってくれたなら

運動会に向けての活動が大詰めだ。 運動会とはいっても、「運動会に向けて、一生懸命練習するぞ! エイ、エイ、オー!」みたいなことは全くなくて、ふだんから取り組んでいる運動的な遊びを、保護者にも一緒に見てもらって発表しよう、という趣旨の会。 だか…

僕が一緒に考えることで職員同士の関係を調整しよう

よく言われることだけど、保育士の仕事でつらいのは子どものことよりも、大人相手のことのほうが多い。 保護者対応がつらいこともあるけれど、とはいえ、よっぽど関係がこじれない限りはめったに修羅場は迎えない。 修羅場、というほどではないけれども、よ…

『サピエンス全史』上を読む。

『サピエンス全史』上を読み終える。サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福作者: ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/09/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (49件) を見る なぜ我々はこのような世界に生き…

子どもと短歌、俳句をやることにする

子どもと短歌、俳句をやることにする。僕は短歌が好きで、一時期、読むだけでなく、自分でも作っていたことがある。 たいした歌を作っていたわけではないのだけれど、それでも、短歌を詠むことによって、自分自身の思いが三十一文字の中に結晶されるのが、と…

一人の大人として意見をきちんと伝えること

職場の人たちと飲みに行く。 ふだん、一緒に仕事をしていてもゆっくり話をする機会はめったになくて、たまに飲みに行くと色々な話ができて楽しい。 24歳の女の子が、どんなふうに男を見つけてきて付き合うことになり、同棲するにいたったのか。純粋に下世…

安いって英語でなんて言う?

5歳児の男の子に、「『安い』って英語でなんていうかしってる?」と聞かれる。 cheapだと「安っぽい」というネガティブな印象かなぁ、じゃあreasonable? なんてことは言わず、素直に「えー、なんていうの?」と返す。 5歳児、じゃあ教えてあげるよ、とも…

言わなきゃ気持ちは伝わらない

年長の男の子が友だちと二人で座っているベンチに、もう一人別の子が座りに来たことで、いじけてた。 はじめ、いじけている理由がわからなかった。 三人にいろいろ話を聞いてみるうちに、なぜいじけてたのか分かった。 あとから来た子が一緒に座るのは嫌では…

年長の、コミュニケーションについての名言

相手がそう感じたんなら、私がそう感じさせることをしちゃったんだと思う。 年長の女の子が、友だちとのけんかの後にそう言っていて驚く。なんて建設的で、大人びた考え方をするんだろう。 もしかしたら、身近な大人が言っていることを聞きかじって真似して…

緊張の保育園調理活動

ピーラーの先についているのは、実は包丁とおなじものだ、と聞くとみんな緊張した。 それでも、にんじんやジャガイモの皮をむき始めるとやっぱり刃物を扱っているという自覚は薄れるようで、シャキーンシャキーンなどと調子に乗り始める子どもがいた。指の川…

ブロッコリーの茎って何?

グラタンには、ブロッコリーの茎は入れない。茎の部分を捨てるのはもったいないので、と給食室が職員用に茎をにんにくでソテーして作ってくれる。 「せんせい何食べてるの?」 ――ブロッコリーの茎。給食室の先生が先生たちにって作ってくれたんだ。 4歳の女…

DVDを返し忘れた。髪はママに切ってもらったわけではなかった。

DVDを返し忘れて延滞料を払う。 返し「忘れた」わけではなかった。新作だったので、レンタル日数が短くて当日返却で借りた。次の営業日の開店前までに返せばいいので、出勤前に返しに行こうと思っていた。絶対に忘れないように、玄関ドアにマグネットで不織…

たどたどしい表現の後ろに広がる世界――フンデルトワッサー、乳幼児の発声

本を読むのは確かに好きだけど、多読家というには程遠くて、一冊読むのに結構な時間がかかるオランウータン日誌です、こんにちは。 昨日、高山なおみのエッセイから「老人の体に棲みついて離れない記憶というものがあるのを見た気がした」というフレーズをひ…

子どもは皮肉な詩人です。

「うちのお母さんの会社は××××(某有名企業)なの!本を作るお仕事してるんだよ!」 ということをほぼ毎日、たとえばみんなで給食おいしいねぇみたいな話をしているときなんかに、全く空気を読まずに言ってくる女の子がいて、私はその度に「チッ」と思って(…

どうやって相手の気を引く?

思いを伝えようとする姿って素敵だ。自然と目を向けたくなる。そんなことをこないだから考えてる。きっかけは犬だ。 友だちとごはんを食べに行ったときに、隣の席のゴールデンレトリーバーがときどきこちらのテーブルに来て、私たちに背中を向けて座る、とい…

私はこの道を見たことがないけれど世界が素晴らしいことは感じられる

私は馬車に乗ったことがない。アカシアがどんな花なのかも知らない。白い時計台を見たこともない。 いったい、日本でふつうに生活している人のうち、どれくらいの人がこれらすべてを見知っているのだろうか。 それでも、私はこれらのものがきっと美しいだろ…

さわる、さわられる、気持ちいい

人にさわったり、さわられたりするのって気持ちいい。 誰かと手をつなぐとき、髪をなでるとき、頬にふれるとき、私たちはふれる/ふれられることによって、互いに快を感じている。体調が悪いとき、不調を来している患部にそっと手を置いてもらうことによって…