オランウータン日誌

保育士をしています。本と落語と自転車が好きです。

運動会が終わった。

運動会が終わった。


やっている時は運営にいっぱいいっぱいで、神経をすり減らし続けていたんだけど、それでも終わってみれば本当に充実していた時間だったと思わされる。


2歳児、3歳児は、たくさんの観客がいる雰囲気に緊張して、ふだん運動遊びを楽しんでいるようには全然できはしなかった。だけど、恐る恐るでも最後までやりとげられたのは、ふだんから運動遊びをやっていたから。だいいち、ちっちゃい人は何をやってもかわいいのだから、コースに出てこられただけでも充分。この経験がきっと来年以降の自信につながっていく。


全体的にあったかい雰囲気の会だったと思っている。


保護者も、自分の子以外の子どもの競技も見てくれていた。それも、自分のクラスだけでなく、他のクラスの子のことも応援してくれていた。なんでそんなことが分かるのかというと、失敗してもがんばっている子がゴールした時や、ちょっと難しいことをやった子がいると、拍手が会場全体から起こったり、「おー……!」というどよめきが起こったりしたから。


子ども同士の応援も、そんなこと事前にまったく話してないのに、自然と「がんばれー!」という声援がとぶ。アツくなりすぎて、「そっちじゃない!こっちだってば!」ともはや怒鳴ると分類されそうな声をあげていて観客席で注目される子もいた。
緊張したってしょうがないよ、もたもたしたっていいんだよ、と会場全体がゆったりと競技中の子どもたちを見守ってくれている感じ。


4歳児、5歳児は、「こんなことができるようになったんだよ!」という輝いた顔を見せてくれた。


今年度は、子どもたちが競技内容を話し合って決めた。4歳は鉄棒に、5歳は大縄にチャレンジすることが競技に組み込まれることになった。(一般的にその年齢としての目標設定として適切かどうかは、今回は厳密に判断しないでおいた。)
自分たちで決めたことにチャレンジする、という試みは大成功だった。


4歳児は色々な動きののち最後に鉄棒を終えてゴール、そのあとは本来の段取りでは子ども観覧席に帰ることになっていたんだけど、多くの子が保護者のもとにかけよって、満面の笑みを見せていた。「できたよ!えっへん!」という気持ちが、遠くから見ているだけでも伝わってきた。


5歳児では僕は大縄の回し手の役割だった。大縄のパートに来ると、子どもたちは僕に「〇〇とびをやる!」と宣言して、そのとび方で大縄を10回とぶ。「○○とび!」と告げに来るその表情がどの子もとても輝いていてまぶしくて、目が合うだけで胸に喜びが広がっていく気分だった。


Kくんは運動が得意でなくって、つい最近まで大波小波で左右に揺れる縄をとぶことしかできなかったんだけど、根気強くチャレンジして、やっと今週に入って何回かいわゆる大縄のとびかたである回しとびができるようになった。
性格的に、運動会当日には自信をもってやれる大波小波をやるのかな、と思っていたんだけど、僕のもとにきたときにKくんは「まわしとび!」と力強く言った。不安はなさそうだった。
一度ひっかかりはしたんだけど、そんなことはもろともせずにやり直して、10回とび終えると、感動している僕を尻目に次のパートにこともなげに移っていく。とても堂々としている。


みんな、とっても成長したね。


できた、できなかった、という結果は本当にどうでもいいと思っていて、「できるようになりたい!」という思いをもってがんばってきたプロセスこそを、運動会では一番大切にしたい。がんばってやってきたプロセスがあれば、できた、できなかったに関わらず、子どもはちゃんと表情にそれを表すし、充実感や達成感を持ってくれる。それは必ず保護者を含めた周りの人に伝わる。
保育士としてとても勉強になった運動会でもあった。


ともあれ、子ども達と違って回復力の弱いおじさんである僕の連休後半は、腕の筋肉痛とたたかいながら、ゆったりのんびり過ごすこととなった。


今週のお題「運動会」