オランウータン日誌

保育士をしています。本と落語と自転車が好きです。

二人の新しい言葉

食事の席で、二人は新しい言葉を喋っていた。もちろん、私にも意味が分かる日本語を話しているが、それは私と友人が普段喋っている言葉とは、少し違う。新しい言葉がすでに二人の間で発明され、二人に馴染みのものとなっている。でも私だって確かにそうだった。恋をするということは、誰かと新しい言葉を話すということだ。
(西口想)


繰り返し引用したくなる、大学の先輩であり友人の西口想の文章。誰かと話をして、心地いい時間を過ごすことのかけがえのなさに気づかされる一節。


別に恋の場面に限ったことではなくて、楽しいとか、嬉しいとか感じるときには、私は私の言葉で話していて、相手も相手らしい言葉で返してきて、きっとそういう風に交わされる言葉は、二人の新しい言葉であるに違いないのだ。たくさんの、そんな言葉を話したいと思う。