自転車での旅行は移動そのものが楽しみになる――横須賀まで往復140kmサイクリングしてきた
いつでも、旅に出る理由はだいたい100個くらい用意しているオランウータン日誌です、こんにちは。
ということで、多摩川沿いにある僕の町から横須賀まで、自転車でひとり出かけてきた。だいたい片道70キロくらい、往復でざっと140キロ。
朝5時半に家を出て、朝食休憩などをしつつ横須賀周辺についたのが、9時半ごろ。猿島に行ったり、観音崎灯台に上ってみたりして当地をぶらぶらしてから、途中横浜などに寄り道しながら帰ってきたのが、夜の7時。さすがにくたくたになったけど、ひたすら一人で過ごすのも悪くない。
旅の記録と後学のために、今回のサイクリングのポイントを整理。
軸となる道を考えてルートを決める
自転車で旅行にいく準備として、ルートを考えることは欠かせない。
地図アプリなどを使ってもいいんだけど、クルマでの移動に最適化されたルートばかりが表示されてしまうので、自分で考えた方が快適な旅ができる。面倒といえば面倒なんだけど、地図とにらめっこしながらああでもない、こうでもないと考えるのは、けっこう楽しい。
自転車でのルートを決める際のコツは、移動の軸となる道を決めておくことだ。
たとえば、今回の旅では、東西の移動の大半が多摩川を走った。サイクリングロードがあって安全、快適に走れるし、なにより水辺を走る気持ちよさは格別だからだ。自分がどの橋で曲がるのかさえ覚えておけば迷う心配もまずない。
そうして、軸となる道を決めるに当たっては、最短距離にこだわらない方がいい。
今回、僕は多摩川を南に折れてから、なるべく最短ルートで行こうと国道ではないそこらの街道や環状道路を使ったんだけれども、自転車の移動には向いてない道が多かった。綱島街道はやたら信号に引っかかるし、県道環状2号は歩道と車道が防音壁で仕切られていてまるで高速道路のようでおっかないうえに、高架になっているところが多いのでアップダウンが激しくてべらぼうつらい。
たとえちょっと遠回りになっても、国道が走りやすい。その道路が自転車で快適に走れる道かどうかを想像しながら、っていうか初めて通る道なら勘を働かせながら、ルートを想定していった方がいい。
着替えはズボンや下着も持っていくようにする
長時間の運動になるので、もちろんTシャツの替えは何枚か持っていったんだけど、ズボン、下着は持っていかなかった。
ズボン、下着は必ずしも替える必要はなかったかもしれないけど、今回の旅の終着点の観音崎には、海に面したスパがあって、入ろうかどうしようか迷ったんだけど、せっかくスパで汗を流しても、また湿ったズボンと下着を着なければならないと思うとげんなりなので、やめてしまった。
観音崎灯台
終着点付近でひとっ風呂あびてリフレッシュすると復路もがんばる気持ちがわいてくる。もしかしたら、旅先によさそうな入浴施設があるかもしれないので、長旅のサイクリングにはTシャツから、ズボン、下着まで、着替えを一式用意するようにしていきたい。
海軍カレー、食べられず
横須賀市はカレーの街として売り込んでいるみたいで、行く前から、お昼には海軍カレーを食べようと決めていた。
自転車だし、通りかかった店にいいところがあればふらっと立ち寄ればいいや、と思っていたんだけど、なかなかいい店がないまま走っていたら、いつの間にか横須賀市を通過……。海軍カレーを食べ逃す。
けど、お腹は完全にカレーを食べる用意ができてしまっていたので、地元の小汚い定食屋に入ってカツカレーを食べた。家庭的な味でおいしかった。計画性がなくてグズグズの旅だ。グズグズの旅も、それはそれでいいんだけど、どのエリアで食べるかくらいは決めておいたほうがいい。
移動そのものが自転車旅の楽しみ
自転車一人旅なんていっても、大半はひたすらペダルを漕いでいるだけなんだけど、その中身は、走っていてつらい道もあったり、気持ちいい道もあったりして、それなりに濃密な時間だ。
朝、日の出の直後の、夜の名残を残したちょっと冷たい空気の中で、人かげのない道を走る気持ちよさは格別だ。海の匂いを感じながら市街地を抜けて、坂を下ると海沿いの道に出る、その解放感。自転車は、知らない街の空気をぜんぶ感じるのに適した乗り物だ。
目的地に着く、ということだけを考えるなら、自転車なんて時間がかかるし疲れるし、効率が悪すぎる。でも、自分でルートを考えて、自由に寄り道しながら、好きな時に立ち止まって進むことができる。移動が単なる目的地に着くためのものではなくって、移動そのものが楽しみになることが、自転車での旅の最大の魅力だ。今回は、片道70キロ程度の道のりだったけれども、もっと遠くへ、知らない街へと行きたくなる。自転車の旅、くせになりそうだ。
方法的な直線の道は、鉄道やハイウェイのように平原を掘り起こし、山や谷を突き抜けて最短距離で進む。そのあとをこんどは機関車が、自動車が、騒音や排気をまき散らしてゆく。これに対してランドネの道は、風景と折り合いをつけながら、ときに風景のその襞のなかに紛れ込んだり、杜を迂回したり、別の道に通じたりして、うねうね進んでゆく。この「長く、曲がりくねった、ぎざぎざした、雑多な」ランドネの道で、人は寡黙なものにふれる。思いがけないものと遇う。用がないものにも目を向ける。自分が方法の道の上にいればぜったいにふれられないものに、ふれるのである。(鷲田清一)
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以上、オランウータン日誌がお届けしました。