神宮外苑・早稲田・雑司ヶ谷サイクリング――街と街のつながりを実感する楽しさ
オランウータン日誌です、こんにちは。
妻が友だちの結婚式で福岡に飛んでいるので、今日は一人で自転車に乗って出かける。
多摩川沿いから246に折れて、神宮外苑まで延々と進む。神宮のイチョウは今が見ごろ。朝の10時前だというのにけっこう賑わうイチョウ並木をゆっくりと流し、外苑東通りへ。
外苑東通りを行くと、青山の華やかな雰囲気はだんだんと影をひそめてきて、千駄ヶ谷あたりでは車通りも少なく、静かで、落ち着いていて、それでいてそこで生活している人の息遣いが感じられるような品のある街並みになる。
しばらくすると、人が活動している気配がはっきりと伝わってくる、言ってしまえば雑然としたにぎやかさが徐々に戻ってくる。今日の目的地は祖母の家のある池袋にほど近い街。外苑東通りをそのまま目白通りにぶつかるまで進めばいいのだけれど、神宮外苑や千駄ヶ谷からものの数十分自転車を漕ぐだけで、かしましい早稲田につながるのが面白くって、早大通りに寄り道してから目白通りへ。
椿山荘、聖カテドラル教会、日本女子大、学習院大など、目白通りは青梅街道と交差するあたりまでは、さまざまな表情を見せる。明治通りをまたぐ千登世橋からは、都電荒川線を見下ろすこともできて楽しい。
目白通りを一本横の道に曲がってみると、閑静でいながら、下町らしい雰囲気の感じられる家並み。鬼子母神への参道はケヤキ並木が美しい。池袋の徒歩圏内にこんな道があるなんて、電車に乗って移動していたら分からなかった。
すかしたイケメンマスターのオシャレカフェで一休みしてから、祖母の家に向かう。
寄り道だらけだけで、時間のかかる移動。
だけど、こうして自分の足で移動すると、街と街のつながりを感じることができて、それはとても楽しいものだ。
知識として、あるいは地図の上では知っている街と街が、足を運んでみるまでは別々の点と点でしかなかったのが、実感として一つの世界につながる。
こういう感覚を味わえるのが自転車の醍醐味の一つで、だから、たまには一人で、気ままに走りに出るのもとても楽しい。
以上、オランウータン日誌がお届けしました。
「こことここが地図上ではつながっているけれど、本当につながっているのか。だとすると、どのようにつながっているのか」と思ってしまい、そうすると、歩かずにはいられなくなる。新宿と大久保って地図で見ると隣だけど、どんなふうに町はつながっているのか、と確かめる感じだ。
そうすると実際、町はつながっていて、つながり目というのもちゃんとあって(新宿――大久保間でいえば、歌舞伎町がディープになってすとんと暗くなり、アジア看板があらわれてくるような)、やっぱり歩いているとその町の大きさや、空気や、微妙な棲み分けなんかが分かってたいへんにおもしろい。
(角田光代)
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写真はフィルムを撮り終わらないので現像がまだなんだけど、後日アップします。※写真アップしました。(20151214)