オランウータン日誌

保育士をしています。本と落語と自転車が好きです。

「レオ・レオニ 絵本のしごと」展は大人も充分楽しめる!

レオ・レオニ 絵本のしごと」展を見に行ってきました。(開催概要&チケット情報 | レオ・レオニ 絵本のしごと | Bunkamura


保育士としての資質を高めるために、という勤勉な話ではなく、広告でこの展覧会を見かけて、あっ、このネズミ懐かしい、いま見るとかわいいなぁ、と思ったのがきっかけで足を運んでみただけ、というのが恥ずかしいですが……。


レオ・レオニ作品は、『スイミー』『フレデリック』など、小学校の国語の教科書に載っていることが多いので、なじみ深い方も多いのではないでしょうか。私の通っていた小学校でもこの2作品は教材としてとり上げられていました。


その当時の印象を思い返してみると、低学年のときに習った『スイミー』は、分かりやすくていい話だなぁ、と思ったのですが、4年か5年かでやった『フレデリック』についてはよく分からなかった記憶があります。


特別な思い入れがあるわけでもなく行ってみた「レオ・レオニ 絵本のしごと」展ですが、とても楽しむことができました。



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エントランスのスクリーンです。色々な映像がかわるがわる映し出されていました。会場に入る前から見入ってしまう。



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会場内に入ってみると、平日の午前中ということもあり(研修と行事の代休だったのです)、人が少なく、快適に展示を見られる程度の混雑具合でした。


レオ・レオニの絵本作品の原画が、簡単なストーリー紹介と解説付きで展示されています。絵本のサイズで見ると、つい流し見で終わらせてしまうような絵も、原画の大きなサイズで見ると、思わず立ち止まって見入ってしまいます。切り絵で描かれているということもあり、色づかいのおもしろさや、絵のあたたかさが伝わってきました。絵本で見るよりも構図にゆとりがあって、余白が絵の力を引き出しているように感じます。


知らない絵本の原画もたくさん展示されていましたが、紹介と解説のおかげで、絵本の世界にすんなり入ることが出来ました。「この絵本読んでみたい!」と思った作品がいくつもありました。


会場なかほどには、「この絵本読んでみたい!」に応えるかのように、絵本を自由に閲覧できるスペースが設けられていました。閲覧スペースはさすがにちょっと混んでいましたが、ちゃんと座って、落ち着いて読むことが出来ました。ただ、私は平日に行ったからいいけど、土日だと子ども連れも多いだろうし、とてもじゃないけどのんびり絵本を読んだりはできないだろうな。


保育士としての感想


個人的な趣味として足を運んでみたとはいえ、やっぱり子ども向けのお話に多く触れると、保育士として思うところはあるので、蛇足の感がありますが、簡単に感想を書いておきます。


はじめに書いたように、子どもにはちょっと難しいかな、と思うようなところもありましたが、レオ・レオニ作品のメッセージはぜひ子どもたちに伝えたい、と感じました。


『フレデリック』、『スイミー』、『コーネリアス』……どの作品の主人公も、他の仲間たちとはちょっと違った変わり者です。それゆえに、困難にぶつかることもあるのですが、「変わっている」からこそ果たせることがあって、最終的には仲間から認められる。みんなちがってみんないい、と言ったら陳腐に聞こえてしまいますが、レオ・レオニの、楽天的とすら呼べる、個性を発揮することや芸術に対する信頼感で語られれば、こちらの胸に響いてくるのです。


子どもには難しい、と言った前言は撤回した方がいいかもしれません。「難しい」のは私たち大人が上手に理屈で説明できないというだけであって、いい物語であれば、子どもはちゃんと、絵本のメッセージを受け止める力を持っていますから。


展示を見た後は


展示を見終わる頃には、「あの本ほしいなぁ」という気持ちに当然のようになっています。もちろん、その気持ちにも応えてくれて、ミュージアムショップには絵本販売の用意も抜かりありません(笑)


私は展示を見ているうちに『おんがくねずみジェラルディン』と『びっくりたまご』がとても気に入ったので手にとってみたのですが、絵本って、高いんですよね……。2冊買ったら今月の趣味費予算が苦しくなる、でも欲しい、と葛藤した末、「ネットで古本を買おう」というファンタジーのかけらもない結論に至りました。(が、帰って検索してみて、絵本って中古でもそんなに安くならないということを思い出さされた。)結局、ポストカードとスタンプだけ購入して帰宅。


絵本が気軽に買えたらなおよかったですが、「レオ・レオニ 絵本のしごと」展、大満足でした。レオが絵本作りを「私自身の気にかかっている問題を論じるための表現形式」と捉えていたということを考えてみれば、子どもが身近にいる人だけではなく、大人が見ても充分楽しめる展示だと思います。


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