オランウータン日誌

保育士をしています。本と落語と自転車が好きです。

新宿末廣亭 二月上席 夜の部(7日目)

新宿の末廣亭に行く。夜の部の、7時から9時の終演まで。あんまり長くいるとお尻が痛くなるから、最後の方だけ。

柳家さん八 漫談


先代の小さん師匠の話。2・26事件や、昭和天皇への態度など、その時代を生きた人ならではの感覚が伝わってきた。

古今亭菊之丞 「町内の若い衆」


恐妻・悪妻の見本のような語り口。感じ悪い女の語りの中に、妙な色っぽさが滲むのが不思議。下品なサゲに爆笑。

柳家小せん 「鷺とり」


仲入り後、小せんさんが高座に上がった直後に地震


「みなさん、私がここにいる限りは大丈夫です。もしダメなら噺家は一番に逃げ出していなくなってます」


という意味合いのことを言って笑いを取っていて、どんなこともアドリブで笑いに変えるのはさすが。

林家楽一 紙切り(勧進帳、ひな人形、梅に鶯、巌流島の決戦、五郎丸)


紙切りの技術はもちろんのこと、複雑な形を鋏一つで表現しながら、飄々と客とやり取りができるのだから、すごいよなぁ。


巌流島をリクエストした初老のお客さんは、先代と先々代の楽一さんにも同じ巌流島を切ってもらったそう。師から弟子へ脈々と受け継がれる芸の伝統を感じる。


楽一さんは「家で見比べたりしないでくださいね」

桂南喬「鮑のし」


南喬さん演じる甚兵衛といったらもう、気のいいバカを絵に描いたよう。安心して笑う。

入船亭扇辰 「ぼやき酒屋」


創作落語なのだけど、扇辰さんの人のよさそうな風貌で語ると、自分の体験談を話しているようで、こちらもなんだかかわいいボヤキに聞こえる。

鏡味仙三郎社中 太神楽


師匠といった体の初老の芸人さんととともに、僕と同年代かそれより若い人が一緒に出てきて、立派に演じていた。すごい芸だ。

古今亭菊太楼 「明烏


江戸時代の「イキ」とはどんなものだったのか、一人前の男とみなされるためには何が必要とされるのか、そんなことを考えさせられる演目。そもそも僕が落語を聞いてみようと思ったきっかけは、学生時代に、日本文化を理解するためには落語を聞きこむことが必要、というようなことを言う学者がいたからだった。


そんなことはさておいても、堅物が遊郭に行ってドタバタするのは、小難しいことは抜きにして大笑いできる。