子どもの誕生日だった。当日は、朝からレゴショップに行って、北極探検船のセットを買った。15,000円だった。子どものおもちゃにしては高すぎる、一緒に行った祖父母が半額を出してくれたが、それでも、高価に過ぎるプレゼントだ。
5歳の子どもはよく遊んだ。買ってきたその日は、昼寝もせずに母と祖父母と船を組み立て続け、次の日、つまり今日も、出先から帰ると船に駆け寄り遊び始める。
船は、レゴなのに水に浮く仕様になっている。ふだん、母とお風呂に入りたがる我が子だが、とーちゃんと船をお風呂に浮かべる、という約束で、今日は夜に出かける用事があった僕を、遅くまで待っていた。
お風呂に浮かべよう!と僕と5歳になった子どもが服を脱いでいると、2歳の子どもが一緒に入る!と大急ぎでお風呂に来る。ふだんは、決して自分から服を脱いだりしないくせに、きょうはすごい速さで上衣とズボンを脱ぐ。追いかけてきた母が2歳の子どもを抱き上げると、入りたかった〜と泣き出す。後から話を聞いたところによると、70センチ以上ある北極探検船と同じサイズ感のはとバスのおもちゃをお風呂に入れたかったようだ。歳上のきょうだいを真似したくてしょうがない2歳児、かわいすぎる……。まるで、絵本『ぶーちゃんとおにいちゃん』みたいだ。
風呂から上がると、5歳の子どもがいそいそと北極探検船をタオルで拭く。そこから連想して、世界には消防車をピカピカにしない国があるんだって、と昔海外に留学していた母から聞いたことを話し始める。さらに連想して、世界中の全部の国に行きたいね、でも、戦いをしている大きな国(ロシアのことだろうか)は行けないね、鉄砲で撃ったり剣で刺したりは本当に嫌だよね、などとも話している。うん、本当にその通りだね(週末の選挙では、この子が戦争に加担させられたりすることがないように、しっかりと投票行動で意思表示しよう)。そんなこと誰が言うの?と聞くとどうやら保育園の先生たち。いいね、同じ気持ちです。
北極探検船を拭き終わると、今度はサイズを測り始める。測るためのいいものを知ってるんだ、とメジャーを手にして得意げ。長さ、幅、高さを測ってホワイトボードにメモしておく。北極探検船が好きすぎて、科学的なアプローチまで始めちゃうなんて、幼児、恐るべしだ。